田中 裕梨

工学部 生命環境科学科卒業(2011年3月)
現職)県立工業高等学校 勤務 

 

 

 

現職について

私は福岡工業大学(倪研究室)を卒業後、九州大学大学院に進学しました。大学や大学院では、ものづくりをすることの大変さや面白さを学ぶことができました。卒業研究や修士論文のための研究で体力や気力の限界を感じながらも、徹夜したりしながら仲間や教官とともに研究に打ち込んだ日々は今では良い思い出です。今考えると、そのような研究やものづくりを通して技術だけでなく忍耐強さなどを学んできたのだと思います。そして、大学や大学院で実習のチューターをしていたことやアルバイトで塾講師をしていたこともあり、ものづくりを人に教えることができる工業高校の教師になりました。現在、工業高校の教諭(工業)として教鞭をとっています。工業高校を卒業した生徒のほとんどが就職し社会人として活躍することから、社会に必要な技術と知識をものづくりを通して伝えていけるよう努力しているところです。そのためには私自身も常に人に教えるという立場を認識し、行動していかないといけないと感じています。

 

工業高校の教諭としての仕事は授業だけでなく、実習や資格取得指導にもちろん部活指導もあります。勤務時間も短くはなく責任も伴う仕事ではありますが、成長するために努力する生徒を見ていると、私自身もまだまだ頑張らなければならないという気持ちにさせられます。今は子育てと仕事の両立が大変ではありますが、子育てでは我が子から元気をもらい、仕事では生徒から元気をもらい、どんなに疲れていても母として、教師として努めなくてはいけないという思いを抱かせてくれます。子供たちの力は感心するものがありますし、いつも感謝の気持ちで一杯です。そして、プライベートでは母となった今、学生時代に培った英語力やグローバルな視点を我が子の子育てにも生かすことができていることにも喜びを感じています。

 

現職に役立っている在学中の留学体験

留学する前は自分に自信がなく、人に頼ってばかりの性格で、自分で行動するということが苦手でした。自分に対する劣等感が人一倍強かったと思います。その劣等感の一番の理由は大学受験に失敗し、希望する大学へ入学することができなかったことが原因でした。しかし、今思うとそのおかげで、「福岡工業大学に入学できて良かった!」の一言につきます。特に英語が苦手で、初めて受けたTOEICは390点でした。そんな自分が嫌でどうにかして変わらなくてはいけないと思っていました。ただ、自分の力ではどうすることもできず、まずは環境を変える必要があると思い、留学することを決意しました。留学することで苦手意識を克服すれば自信が持てると思い、TOEICの勉強に励んだことを覚えています。それまでは、英語は苦手という意識が強く、勉強したくないという腐れた気持ちが強かったのですが、目標が定まってから本当に一生懸命勉強したのを覚えています。それでも、留学前のTOEICスコアは基準ギリギリの500点でした。

 

留学中は、当たり前ですが自分の意志で考えて行動する機会が増えました。カリフォルニアには皆さんご存じのようにAppleやGoogleなど有名なIT企業がひしめく聖地でもあります。そのような産業の活発な場所で1年間過ごしているうちに私自身もだんだんと積極的に行動ができるようになってきたように思えます。そして、苦手だと思っていた英語も留学後のTOEICでは815点をとることができました。この経験から私は努力すれば苦手を克服できること、そして困難なことを乗り越えたことで自分を好きになることができたように思えます。

 

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アメリカ留学中の田中さん

 

その後、大学院へ進学して、英語での論文作成や発表に抵抗がなかったことも留学経験で培った学びの成果でした。そして、教員採用試験で留学経験や英語力が評価されたことは、現職に直結した留学の成果であったと思います。現在私は工業高校の教諭ですので、職場ではALTのネイティブの先生と会話をする程度で英語を使う機会は殆どありません。しかし、大学時代の留学を通して「自分を好きになれたこと」が一番、現職で働く上で恩恵を受けている点であると思っています。教育現場では、生徒は日々、新しいことを学んで成長していきます。その過程で、もちろん嫌なこと苦手なことに遭遇することもあります。そんな時にきついから辛いからという理由でそこから逃げてしまっては、せっかくの成長の機会を失くしてしまします。そうならないためにも、留学経験を通して得た「苦手を得意に変えることで自分のことを好きになり、自信がもてるようになること」を私自身の行動を通して教えることができています。生徒が困難なことに直面した際にはもちろんアドバイスやサポートを行います。しかし、サポートだけでなく自分自身が見本となるように常にきついことや大変なこと、また、苦手だと感じることに挑戦する姿を見せるようにしています。新しい技術習得のための訓練や資格取得に励んでいます。このように目標をもち、努力することができるのは、自分のことを好きだと思えるようになったおかげであると思います。

 

在学生へのメッセージ

私は福岡工業大学で学んだ全てのことや沢山の支えのおかげで、留学できたことを嬉しく思い、感謝しています。福岡工業大学で学んだことや留学経験を通して学んだことを教師として、グローバル社会で将来を担う生徒たちに伝えていきたいと思っています。「自分を好きになりたい、自分を変えたい、自信を持ちたい」と思う人は是非機会を見つけて、自分にチャレンジしてほしいと思います。留学や英語学習に興味がある方は、国際連携室に足を運んでみてはいかがでしょうか。その一歩があなたの人生を変えるかもしれません。将来、国際的な仕事や英語を使う仕事に携わりたいと考えている人はもちろん、私のように英語を使わない職種についても留学・英語学習を通して得られるものは多くあります。

 

<在学中に参加した留学プログラム>

  • 海外英語研修(1年次)
  • 海外英語研修(2年次)
  • 長期学生派遣プログラム(3年次休学にて留学)
  • 韓国サマープログラム(3年次)